2009.11/27 [Fri]
So happy #6
「凌さ、絶対楽しんでんだろ?」
部屋へと戻ったとたん、春樹が呆れたように口を開いた。凌はごろんと畳の上に横になると、ぐっと身体を伸ばした。
「そう見える?」
「見えるから聞いてんだろ。趣味ワリいぞ」
凌の脇に座ると、凌を見下ろしながら春樹が言う。その様子が、どこか拗ねているように見えるのは気のせいではないような気がする。
「はーる」
隣にいる春樹を確かめるように名前を呼ぶと、そっと膝に手を伸ばした。
「何?」
「こうしてさぁ、ここに2人で来るのだってお前嫌がったじゃん。…もしさ、佐藤と一緒にいた人が付き合ってんなら、少しは気が楽になるかと思ったんだよ」
伸ばした手をそのまま春樹の腰に回すと、その膝に顔を埋めるように身を寄せた。そして呟くように凌が言った。
そう。
自分は、いい。
自分の性癖に対して納得もしているし、誰が何と言っても変えられるもんじゃない事も分っている。
でも春樹は違う。
あの時、凌が受け入れなければきっと今頃は可愛い恋人を作っていたはずだ。もしかしたら結婚して、子供の1人もいたかもしれない。
何かあっても誰に相談できる訳でもない今の関係に、春樹が少なからず悩んでいる事も気が付いていた。
それでも、もう手放せない。
ここであの2人に会ったのも、きっと何か意味があるような気がした。だから強引だとは思ったけど、何とか接点を持ちたかったというのが本音だった。
とは言え、面白がっていることを否定は出来ないのは確かなのだが。
「凌?」
顔を埋めたまま動かない凌の頭を撫でながら春樹が呼ぶ。
「ばーか。それよりお前、あの柚木って人に絶対嫌われてるぞ」
「別に好かれようとは思ってねぇし、春樹以外に興味なんかねぇよ」
「言ってろ」
凌の言葉にくすくすと笑いながら春樹が答える。
窓から差し込む夕焼けが部屋を赤く染める。一時、穏やかなゆっくりとした時間が流れていた。
兄ちゃん、こんな事考えてたんだ。
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部屋へと戻ったとたん、春樹が呆れたように口を開いた。凌はごろんと畳の上に横になると、ぐっと身体を伸ばした。
「そう見える?」
「見えるから聞いてんだろ。趣味ワリいぞ」
凌の脇に座ると、凌を見下ろしながら春樹が言う。その様子が、どこか拗ねているように見えるのは気のせいではないような気がする。
「はーる」
隣にいる春樹を確かめるように名前を呼ぶと、そっと膝に手を伸ばした。
「何?」
「こうしてさぁ、ここに2人で来るのだってお前嫌がったじゃん。…もしさ、佐藤と一緒にいた人が付き合ってんなら、少しは気が楽になるかと思ったんだよ」
伸ばした手をそのまま春樹の腰に回すと、その膝に顔を埋めるように身を寄せた。そして呟くように凌が言った。
そう。
自分は、いい。
自分の性癖に対して納得もしているし、誰が何と言っても変えられるもんじゃない事も分っている。
でも春樹は違う。
あの時、凌が受け入れなければきっと今頃は可愛い恋人を作っていたはずだ。もしかしたら結婚して、子供の1人もいたかもしれない。
何かあっても誰に相談できる訳でもない今の関係に、春樹が少なからず悩んでいる事も気が付いていた。
それでも、もう手放せない。
ここであの2人に会ったのも、きっと何か意味があるような気がした。だから強引だとは思ったけど、何とか接点を持ちたかったというのが本音だった。
とは言え、面白がっていることを否定は出来ないのは確かなのだが。
「凌?」
顔を埋めたまま動かない凌の頭を撫でながら春樹が呼ぶ。
「ばーか。それよりお前、あの柚木って人に絶対嫌われてるぞ」
「別に好かれようとは思ってねぇし、春樹以外に興味なんかねぇよ」
「言ってろ」
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- at 12:00
- [見上げたガラス越しの空は (凌×春樹)]
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2009.11/25 [Wed]
So happy #5
「よ、偶然だな」
一体今までどこにいたのだろうか。浴衣を着ているのだから、どこかの風呂にいたはずなのにと思いながらも、佐藤の背を叩きながら凌が言った。
「げっ、桜井。あれ、上条は?」
「春樹? 少しのぼせたみたい。あっちで座ってる。あ、どうも」
振り返った佐藤の顔が赤いのは、風呂のせいだけではないだろう。そんな下世話な想像をしながら、横にいた柚木に向かって凌がすっと頭を下げた。そしてさらに言葉を続ける。
「佐藤さ、そっちの人がよければ夜、一緒に飲まない? こんなとこで会うのも何かの縁だし、どうです?」
前半は佐藤に、後半は柚木に向かって凌が言った。
「こいつの高校の頃の馬鹿話、いろいろ教えますよ」
少しだけ人のよさそうな笑みを浮かべ、畳み掛けるように言えば黙っていた柚木がチラッと佐藤を見上げながら小さい声で、「和希がいいなら…」と答えた。
「柚木さん、マジで?」
「…うん」
佐藤に隠れるようにして凌達を観察しながら、それでも警戒心を解かない姿はまるで猫のようだ。
「春樹もいいよな」
少し離れたところに座っていた春樹に声をかければ、了解とばかり手を上げる。その様子を満足そうに見ながら、凌が佐藤の影に隠れている柚木の様子を伺う。
やっぱりどう見ても 『お仲間』 だよなぁ…
隠れるようにして引っ付く柚木を気にする佐藤の様子もそれを肯定しているようで。
「佐藤、携帯の番号変えた?」
凌が顔をあげ聞いた。
「いや、昔のまんまだよ」
「じゃあ後で連絡するわ。それじゃ、お先」
ほとんど一方的に約束を取り付けた凌が、背中に少しだけ敵意のこもった視線を感じながら春樹のところへと戻る。
いろいろ弄りがいありそうじゃね?
佐藤の影に隠れていた柚木の顔を思い浮かべながら、ふとそんな事を思った。
風邪をひいて、午後から半休取りました。頭が動いてくれません(T-T)
先日、ほんめい各話に拍手をしてくださった方、ありがとうございます。拍手の数を見てビックリしました。ウレシスですww
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一体今までどこにいたのだろうか。浴衣を着ているのだから、どこかの風呂にいたはずなのにと思いながらも、佐藤の背を叩きながら凌が言った。
「げっ、桜井。あれ、上条は?」
「春樹? 少しのぼせたみたい。あっちで座ってる。あ、どうも」
振り返った佐藤の顔が赤いのは、風呂のせいだけではないだろう。そんな下世話な想像をしながら、横にいた柚木に向かって凌がすっと頭を下げた。そしてさらに言葉を続ける。
「佐藤さ、そっちの人がよければ夜、一緒に飲まない? こんなとこで会うのも何かの縁だし、どうです?」
前半は佐藤に、後半は柚木に向かって凌が言った。
「こいつの高校の頃の馬鹿話、いろいろ教えますよ」
少しだけ人のよさそうな笑みを浮かべ、畳み掛けるように言えば黙っていた柚木がチラッと佐藤を見上げながら小さい声で、「和希がいいなら…」と答えた。
「柚木さん、マジで?」
「…うん」
佐藤に隠れるようにして凌達を観察しながら、それでも警戒心を解かない姿はまるで猫のようだ。
「春樹もいいよな」
少し離れたところに座っていた春樹に声をかければ、了解とばかり手を上げる。その様子を満足そうに見ながら、凌が佐藤の影に隠れている柚木の様子を伺う。
やっぱりどう見ても 『お仲間』 だよなぁ…
隠れるようにして引っ付く柚木を気にする佐藤の様子もそれを肯定しているようで。
「佐藤、携帯の番号変えた?」
凌が顔をあげ聞いた。
「いや、昔のまんまだよ」
「じゃあ後で連絡するわ。それじゃ、お先」
ほとんど一方的に約束を取り付けた凌が、背中に少しだけ敵意のこもった視線を感じながら春樹のところへと戻る。
いろいろ弄りがいありそうじゃね?
佐藤の影に隠れていた柚木の顔を思い浮かべながら、ふとそんな事を思った。
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2009.11/23 [Mon]
So happy #4
膳は急げだな、とばかり凌が席を立つ。何をするのかと春樹がそれを目で追えば、持って来たカバンから入浴セットを取り出した。
「さっきの様子からすれば多分風呂行ってるはずだから。ほら、春樹も行くぞ」
「マジで探すわけ?」
ウキウキと出した荷物を片手にした凌に、呆れたように春樹が言う。そんな春樹の腕を取りながら凌が楽しそうに頷いた。
「趣味悪いぞ、お前」
「今に始まったことじゃねぇだろ? それにせっかく来たんだから、温泉は入んないでどうするよ。それとも今から1発ヤるか?」
「この色ボケッ! それしか言うことねぇのか」
凌の言葉に、春樹が大きな声で罵りながら頭をバシッと叩いた。そして凌の手から自分の入浴セットを取り上げると、すたすたと部屋から出て行った。その後姿を追いながら凌がほくそ笑んでいることに、春樹は全く気が付いていなかった。
「だー…、いねえじゃんかよ。いると思ったんだけどなぁ」
意気揚々と外の露天風呂や薬湯風呂など次々と覗いては見たものの、凌はお目当ての人物の姿を見つけることが出来ないでいた。
「もう諦めろって」
「けどなぁ…」
脱衣所のイスに座りながら春樹が少しのぼせたのか、自分の顔をパタパタと手で仰いでいる。
「ま、しょうがないか。春樹、先、部屋戻っててもいいぞ。俺、サウナ入ってくるから」
すぐそばにあった自販機で冷えたお茶を買うと、春樹へと渡しながら凌が言った。それを受け取ると、額に当てながら春樹が大きく息を吐いた。
「ホント、お前って頑丈なのな。いいよ、行ってきな。待ってるから」
「戻ってろって。そんな格好で待ってられるほうが心配だわ」
「ばーか。そんな目で見るのなんてお前しかいないよ。……あ」
タオル1枚で局部を隠しただけの自分の姿を見下ろす凌に呆れながら、春樹が何かに気が付いた。凌がその視線の先を手繰れば、そこにいたのは佐藤とさっきの男だった。
「みい−つけた」
「え? あ、おい凌」
ニヤッと笑うと、凌はまだ自分達に気が付いてない2人の方へと歩いていった。
相方がすぐ近くにおります。
いつばれるかヒヤヒヤ…
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「マジで探すわけ?」
ウキウキと出した荷物を片手にした凌に、呆れたように春樹が言う。そんな春樹の腕を取りながら凌が楽しそうに頷いた。
「趣味悪いぞ、お前」
「今に始まったことじゃねぇだろ? それにせっかく来たんだから、温泉は入んないでどうするよ。それとも今から1発ヤるか?」
「この色ボケッ! それしか言うことねぇのか」
凌の言葉に、春樹が大きな声で罵りながら頭をバシッと叩いた。そして凌の手から自分の入浴セットを取り上げると、すたすたと部屋から出て行った。その後姿を追いながら凌がほくそ笑んでいることに、春樹は全く気が付いていなかった。
「だー…、いねえじゃんかよ。いると思ったんだけどなぁ」
意気揚々と外の露天風呂や薬湯風呂など次々と覗いては見たものの、凌はお目当ての人物の姿を見つけることが出来ないでいた。
「もう諦めろって」
「けどなぁ…」
脱衣所のイスに座りながら春樹が少しのぼせたのか、自分の顔をパタパタと手で仰いでいる。
「ま、しょうがないか。春樹、先、部屋戻っててもいいぞ。俺、サウナ入ってくるから」
すぐそばにあった自販機で冷えたお茶を買うと、春樹へと渡しながら凌が言った。それを受け取ると、額に当てながら春樹が大きく息を吐いた。
「ホント、お前って頑丈なのな。いいよ、行ってきな。待ってるから」
「戻ってろって。そんな格好で待ってられるほうが心配だわ」
「ばーか。そんな目で見るのなんてお前しかいないよ。……あ」
タオル1枚で局部を隠しただけの自分の姿を見下ろす凌に呆れながら、春樹が何かに気が付いた。凌がその視線の先を手繰れば、そこにいたのは佐藤とさっきの男だった。
「みい−つけた」
「え? あ、おい凌」
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